民法改正(総論)

民法については、昨年2017年の通常国会で明治29年の民法制定以来の抜本的な見直し案が審議され可決成立しました。これを120年ぶりの大改正と言われたりします。民法は総則、物権、債券、親族、相続の5編、1050条からなる法律ですがその中で今回の改正は主に債券に関するもので、平成21年から5年間の法制審議会民法部会での99回に及ぶ審議を経て採択されました。改正された法律は一部を除いて2020年4月1日から施行となります。

民法は、私人間の権利義務関係を規律する一般法です。民法なんて自分の生活には関係ないと思っている人が多いと思いますが民法は私たちの生活の様々なところで無意識のうちにも機能しています。例えば、物の売り買いは売買契約、貸し借りは賃貸借契約や消費貸借契約などの民法の規定に従って行っています。「時効」と言うことばを聞いたことがあると思いますが今回の改正で「短期消滅時効」の規定が廃止されました。また「法定利率」は5%と定められていましたが今回の改正で3%に引き下げられ、さらに3年毎に改定する変動制となりました。合わせて商事法定利率の規定が削除されています。これらなどは早速影響を受ける人がいるかもしれません。2020年4月からは「飲み屋のツケは1年で時効消滅だ」などと呑気な事はいってられなくなります。

今回の民法改正に関する解説書は書店に行けば幾種類も入手できます。ただ法律の実務家でない人達にはわざわざ解説書を買ってまで読もうという人はいないでしょう。そうした人達に知っていて損はないというような事項について何回かに分けて本欄で次回以降紹介していきたいと思います。

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