企業がその事業活動に伴って発生させた不要物は産業廃棄物と呼ばれ廃棄物処理法という法律及び政令で20種類に区分されています(法第2条4項)。元来産業廃棄物はそれを排出した事業者自体が処理するのが建前です(法第3条1項)。ただそれができない場合は外部事業者に収集運搬や処分を委託します。そしてこの収集運搬や処分を行う事業者には5年更新の産業廃棄物収集運搬業や産業廃棄物処分業の許可が必要となります。許可は都道府県知事又は指定都市の長などが行います(法第14条)。そしてこの許可を持っていない下請業者等が、例えば建設現場で生じた廃材を処理場まで運搬した場合などは法律違反となって処罰の対象となります。なぜなら、廃棄物処理法では廃材を発生させたのは下請業者ではなく元請業者とみなされるので元請業者が処置すべき廃棄物だからです。下請業者は他人の廃棄物を無許可で運搬したとみなされます。もちろんこの下請業者が産業廃棄物収集運搬業の許可を持っていれば元請業者が委託することで何の問題もありません。
また産業廃棄物収集運搬業の許可はもっているが処分業の許可はもっていない場合などは注意が必要です。例えば、集めてきた廃棄物を自社事業所内のボイラーで燃やして処分してしまったとしたらどうでしょう。立派な法律違反です。最悪収集運搬業の許可取消しとなってしまいます(法第14条の3の2)。許可取消し処分となったら明日から仕事が出来ません。会社は倒産の危機に陥ります。甘くみていると大変です。
廃棄物処理法は安易にとらえていると会社を潰しかねない威力のある法律です。それはこの法の目的が「廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする」ためです(法第1条)。つまり廃棄物の処理は単なる不用品の処分ではなく生活環境の保全と公衆衛生の向上にも関係してくるからです。
許可申請等については専門家である行政書士にご相談ください。